「勝興寺『寺宝展』—源氏物語へのいざない—」(富山・北國新聞社共催)は二十五日、高岡市伏木古国府の重文勝興寺で開幕した。加賀藩や公家の名門鷹司家との絆(きずな)の深さを示す品々の展示に大勢の来場者が目を凝らし、寺の歴史的価値に思いをはせた。
この日は朗読会も行われ、来場者が五感を通じて源氏物語の世界に浸った。源氏物語の「夕顔」の巻をテーマに、小谷晃子さんの琴演奏に合わせて藤間香寿富社中が日舞を披露、滝沢卓さんのシンセサイザーを交えて金沢を拠点に活躍する本田和さんが、与謝野晶子による現代語訳の「夕顔」を朗読した。 勝興寺には加賀藩前田家や京都・本願寺、公家から輿(こし)入れし、寺宝として残る調度品は勝興寺が浄土真宗本願寺派の有力寺院だったことを今に伝えている。本堂には加賀藩から勝興寺の住職に輿入れした際の婚礼道具が展示され、来場者が勝興寺と加賀藩の絆を感じ取った。 婚礼道具は加賀藩三代藩主前田利常の養女「つる」の持参品とされる「松竹梅図蒔絵貝桶(しょうちくばいずまきえかいおけ)」で、来場者は前田家の家紋である梅鉢紋が金で随所に加飾された桶状の容器に目を凝らした。金沢市鳴和の会社員広池基哉さん(52)は「勝興寺が加賀藩にゆかりがあるとは知らなかった。蒔絵が美しく、藩の持っていた風格を感じる」と話した。 さらに県文化財の「源氏物語箪笥(たんす)」をはじめ、掛け軸「源氏物語絵(若菜)」や「竹取物語 紙本著色(しほんちゃくしょく)冊子」なども展示された。箪笥は鷹司家から勝興寺二十代住職の本成(ほんぜい)に嫁いだ広悟(こうご)が、徳川家から贈られたとされ、公家とのつながりを物語った。 寺宝展は地元住民で組織する「プロジェクト・夢・未来・ふしき」が主催した。朗読会は五月六日も行われ、寺宝展は同月三十一日まで。同展は入場協力金五百円が必要となる。
by riptulip
| 2009-04-27 23:04
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