仏の教えを音楽で表現する「仏教賛歌」を歌っている、県内の浄土真宗の僧侶らの混声合唱団「コール・スガンディ」(長門義城代表)が、結成10年を迎えた。本格的な仏教賛歌の合唱団は全国的にも珍しく、CDも発売。活動11年目に入ったメンバーたちは、山口県長門市出身の詩人、金子みすゞの詩を用いた新たな歌の創作も計画している。
仏教の教えは本来、声明など独特な抑揚の東洋音楽で表現された。それが明治時代以降、山田耕筰らが西洋音楽を取り入れた宗教曲に仕立て、100曲以上の仏教賛歌が作られた。ところが一般にはなじみが薄く、今ではほとんどの曲が埋もれたまま。そこで、賛歌を歌い継ごうと、県西部の浄土真宗本願寺派の僧侶らが97年11月、コール・スガンディを結成。「よい香りの」という意味がある古代インド語の「スガンディ」に「香りが心地よく広がっていくように、賛歌が多くの人に親しまれてほしい」との思いを込めた。 20〜57歳のメンバー23人は、毎年4月の釈迦の誕生を記念する「花まつり」にコンサートを開くなど活動。2006年10月には、キリスト教の賛美歌がリラクゼーション音楽として浸透していることにヒントを得て、「仏教賛歌の素晴らしさを伝えたい」とCDを制作した。「雰囲気が出て心に染みこみやすいから」とほとんどがアカペラで、音の残響にもこだわり、15曲を収録。CDを聞いた女性から、亡くなった夫を思い、「涙が止まらない」との電話がかかってきたこともあった。 広島市中区の実相寺副住職で、ベースを担当する相(そう)正信さん(32)は「法会で門徒さんたちと歌うと心が一つになるのを感じる」と言い、安芸高田市の実家が寺院という高橋智栄さん(36)は「歌詞が日本語なので意味が分かりやすい。親しみやすいメロディーと相まって安らげる」と魅力を語る。 年内には詩人、金子みすゞの詩で新しい賛歌を作る計画を練っており、長門代表は「宗教や伝統にとらわれず自由な発想を大事にして一般の人々が癒やしの音楽として親しめる曲にしたい」と話している。
by riptulip
| 2008-01-14 21:45
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